片想いデュークさん
お願いします、嫌わないでくださいの続き






**許して、だなんて言いません


 あれから数日経ち、私は一つ心に決めた。
 決めてしまえば、迷うことなど無い。
 早速人に尋ね、教えられた宿を訪ねた。
 ギルド、凛々の明星が宿泊していると言う宿。
 中に入ると見知った顔が居て、酷く驚かれた。
 会話に仕様がない言葉の羅列を断ち切り、彼の居場所を尋ねるとある一部屋の前に案内された。

「ユーリならここにいるけど……たぶん寝てると思うよ?昨日遅かったし」

 正午を過ぎた時間でそれはあるまい。

「あの、それでユーリになんの用なの?」
「お前には関係ない」
「うぅ、そうかもしんないけどさぁ……もしギルドの話だったらボクが……」

 ブツブツと呟いている少年は一先ず置いておくことにして、戸を鳴らした。
 返答は無い。
 再び戸を鳴らした。
 ――返答は無い。

「入っちゃえば?鍵は掛かってないと思うよ」

 三度目の正直。
 戸を鳴らした。

「……カロルか?」

 戸を隔ててくぐもった小さな声だが確かに聞こえた。

「わりぃけど、もうちっと寝かせ」
「私だ」
「て……ぇ…………、えっ、デュっ!?」

 先よりも声を大にして少年に向けた言葉を遮ると、彼は大きく驚いた様な声を上げた。

「ちょ、えっ!待てっ、今出るっ」

 彼が次いで戸に近付く気配を感じる。
 ――それでは意味がない。

「良い、そのまま聞いてくれ」

 戸の向こうに聞こえるように少しばかり強く言う。
 ビクリと跳ねた隣にいる少年には悪いがそのまま続けた。

「すまなかった」
「ぇ」
「ぇ、なに?どうしたの?なにが?」

 少年が惚けた声を上げるのに重なり聞こえた彼の声は先程よりも近くに聞こえ、この戸一枚隔てた直ぐそこにいるのかと想像がついた。
 そのことに、今更安堵する。
 一息吸ってから、吐き出し、最後に告げる。

「もう、……迷惑は掛けない」

 これが最後だと。
 自分に言い聞かせる。
 もう、迷惑は掛けないようにと。
 二度と彼の前に姿を現すまいと。

「……ねぇ、なんの話?」
「それだけだ」

 話を振ってきた少年に返してる暇はない。
 そのまま踵を返した。
 が、

 バンッ。

 荒々しい音が鳴り、何事か理解する前に強い力に引かれて後ろに向かってバランスを崩した。

 バタンッ。

「……ぇ、なに?どうしたの?」

 扉の向こうから少年の声が聞こえる。

「ねぇっ」
「カロル、わりぃけど……水、持ってきてくれねぇか」

 目の前には彼の背。

「へ?う、うん?いいけど……」
「出来れば食いもんも。頼んだぜ」
「あ、うん。わかったっ」

 扉越しに少年へ言葉を掛けた青年は、暫く無言でそのまま動かなかった。
 私は、動けなかった。
 ただ彼の後ろ姿を見ていた。
 彼が振り向くその時まで。