帝光 桃井と黒子
三年秋 ありがちネタ










**



「桃井さん」
「えっ!?」
「お願いがあるんですが……聞いてもらえますか?」

 振り返ると、目の前にテツ君が居た。
 随分、久しぶりに会えた。

「……〜〜っテツ君!!」
「っわ、」

 両腕でテツ君を抱きしめる。
 ちゃんとあったかくて、ちゃんとテツ君の感触があって、石鹸の匂いもする。

「テツ君、どうして……、どうして消えちゃったの?みんな心配してたんだよ?」

 目が熱くて、むずむずする。
 涙が出てくる。

「……桃井さん、すみません」

 ぐすぐすとテツ君の胸を借りて泣く私に、テツ君は落ち着いてくださいと頭を撫でてくれた。
 優しく撫でてくれる手は気持ちよく、だんだんと気持ちが落ち着いてくる。

「……お願いがあるんです」

 すごく穏やかな声で、テツ君は言った。

「ボクに会った事、これからボクが言うこと、誰にも言わないでください」
「誰にも……?」
「はい。……青峰君、とか」
「大ちゃんになんてテツ君に頼まれても言わないよっ!!」

 テツ君がみんな、バスケ部のみんなの前から消えたのは全中の試合が終わった後。
 赤司君は「黒子は真面目だからな」と謎の言葉を残して、「気にするな」とみんなに言い渡した。
 例え赤司君にそう言われても、納得できるはず無い。
 みんなでテツ君を探した。
 テツ君のクラスから、学校外のテツ君が行きそうなところまで全部探し回った。
 メールとか電話も沢山した。
 大ちゃん以外。
 きーちゃんもミドリンもむっくんも、今ではみんな諦め掛けているけれど、今でもテツ君と連絡を取ろうとしている。
 大ちゃん以外。

「では黄瀬君たち、みんなに。言わないでください」
「でも……」
「ボクは、誠凛高校に入学しようと思っています」

 戸惑う私を遮って、テツ君は言った。

「え?」
「桃井さん、聞きたがってましたよね。ボクは誠凛高校を受験します」

 確かに、知りたかった。
 テツ君はどこに行くんだろうと、ずっとずっと気になっていた。
 できれば一緒の高校がいいな、なんて考えてもいた。
 けど、

「誠凛……て、」
「新設校です。東京の」

 知っている。
 けど、

「彼らは変わってしまった」

 唐突に、話が変わる。

「彼ら、……というよりも、……ボクら、ですね」
「テツ君……」
「ボクは、バスケが好きだった。みんなでやるバスケが好きだったんです」

 知ってる。
 知ってるよ。
 私も、みんなが好きな、バスケをしているみんなが、好き。
 わかってるよ。

「けどボクは、わからなくなった。もう……嫌いなのかもしれない」

 テツ君がどこを見ているのか、わからない。
 きっと、遠い遠いところを見ているんだろう。

「みんなとやるバスケが今は、嫌いだ。考えるのも嫌だ」
「それは……」

 なんとなく、わかる。
 わかってしまって、苦しくなった。
 私には何もできない。

「でも、続けたいんです」

 好きだから。
 テツ君の言葉に、また泣きたくなった。

「だから、誰にも言わないでください。今のは、……懺悔です」
「……ずるいよ、テツ君」
「すみません。桃井さんならわかってくれると思って……、本当に、ずるいですね」

 謝るテツ君のシャツを握り締めて、また縋り付いた。

「桃井さん……?」
「いいよ。言わない。……けど、受験が終わったら、言ってもいいかな?みんな、本当に心配してるの」

 大ちゃんも。
 口にはしないし、今は何にもして無いけれど。
 大ちゃん、凄く気にしてるから。
 きーちゃんも、ミドリンも、むっくんも、寂しがってるから。

「……はい」

 その時見えたテツ君の顔はもう暫く見ていなかった、やさしい笑みだった。










おまけというかなんというか



「あ、でも、赤司君には言わなくて大丈夫ですよ」
「えっ、なんで?」
「赤司君はもう知ってますから」
「え、えっ!えぇええっ!?」

 なにそれずるいっ!
 思わず叫んだ言葉に、テツ君はまた小さく笑ってくれた。






---------------
書きたいことを適当に書きすぎて残念な内容に
いろいろ伝えきれませんでした
リベンジ希望
あばばん(´・ω・`)
とりあえずこういう経緯でみんなテツ君の入学した高校知ってればいいのにと思ったの
お気づきの方いるかもしれないけど二個前の赤司と黒子の話とチョイ設定かぶってるよ