帝光 黄→黒
矢印未満とも言える 黄瀬 入部してわりとすぐ
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「黄瀬君、落ちましたよ」
「わっ、あ、ああ、ありがと」
振り向くと黒子っちがいた。
未だに彼の存在感の無さには驚くばかりだ。
すごいよな、試合のときとか、マジすごいとか思う。
「ってか、よくオレのだってわかったスね」
黒子っちが拾ってくれたのはタオルだったけれど、これには名前が書いて無い。
体育館の中はかなり人が居て、中には腰に下げてたりして見るからに落ちたら気付かないじゃんってヤツも居る。
それなのによく自分のだとわかったものだ。
「あ、見てたの?」
落ちた瞬間を見ていれば確かにわかるかと思い聞いてみれば案の定だった。
「はい。運悪く」
「運悪くってなんスかそれ……」
普通運良くじゃないの?なんて聞けば、黒子っちは真面目な顔で答えた。
「すみません、練習中でしたから。……ミスディレクションの」
練習中でも、普通反応違くないかと顔に出ていたのか、そこそこ納得する理由が遅れて出てきた。
「あ、そうなんスか。ミスディレクションの練習ってこんな時にしてるんスか?」
「はい。赤司君に言われて」
別にミスディレクションなんて使わなくても影うっすいんだから意味なくね?
なんて思いながら黒子っちを改めて見てみればなんだか随分と疲れているみたいだった。
「……ミスディレクションってさ、どうやるの?」
「は?」
「いや、なんか黒子っち疲れてるからそんな疲れるモンなのかなって」
「……正確に言えば、さっきまでしていたことはミスディレクションではなく、単により自分の影を薄くしていただけですが……」
なんとなく、気まぐれに聞いてみたとしか言えないことに、黒子っちは律儀に答えてくれた。
「目を、見ないんです」
まっすぐに、オレを見て。
なんだか、吸い込まれそうな目だななんて思った。
「誰の目も見ないで、誰の目にも自分が映らないようにします」
こう、人が多いと大変なんですよ。
ため息を吐きながら黒子っちは言った。
「ミスディレクションはそれに加えて、」
「、え?」
唐突に言葉を切った黒子っちは、まっすぐにオレを見ていた視線を逸らし、スッと一歩引き下がった。
「黄瀬、なに一人で突っ立ってんだよ。暇なら相手しろよ」
なんだと思ってると青峰っちが前のほうからボールをダムダムしながらこっちに向かってきていた。
「一人って言うか黒子っち……て、えっ!?」
黒子っちここにいるっしょと指差しながら見てみると、居ない。
「テツがどうかしたのか?」
「え、いや、だって今オレ、黒子っちと話してたんスよ」
「んで、そのテツは?」
「ここです」
声は近いけど、さっきよりも少し離れた場所に黒子っちは居た。
「1on1するんですか?」
「そのつもりだったんだけど、お前はどうすんの」
「ボクは今、赤司君から特別メニューを貰っていますので」
「そっか、じゃあ頑張れよ。よし、黄瀬やるぞ」
なんともまぁ自然に会話して、何事も無かったかのように青峰っちは歩いていくし、黒子っちはその背中を見てる。
「今みたいに、より印象強い人に視線を渡します。まぁ、物でもいいのですが」
「へ?」
「ミスディレクション。どうでしたか?」
再びまっすぐ向けられる視線。
「……凄いっス」
なにがどうとかはわからず、それしか出なかった。
「それは良かった。ご協力ありがとうございます」
「協力?」
「ええ」
一瞬。
「あ」
「、どうかしましたか?」
一瞬、和らいだ表情。
ほんの一瞬で、もしかしたら見間違いだったのかもしれないと思ってしまったけれど、そんなことは無い。
脳裏に焼きついた黒子っちの微笑はもの凄く綺麗で、儚くて、
「い、今のもう一回!」
「は?」
「黒子っち今のもう一回!!」
「今のって……ミスディレクションですか?」
「違う違うっ!そんなことしたら見えないじゃないスか!」
「見えなくする技なんですけど」
「そうじゃなくてっ」
「黄瀬っ、早く来いよ!テツの邪魔すんなっ」
「黄瀬君、青峰君が呼んでますよ」
「あ、う〜、あ〜、あーもうっ!黒子っちあとでちゃんと見せてね!」
「はあ……、?」
ひょろくて薄くてちっさくてひ弱で華奢で、バスケもあんま上手くないけどパスだけはやたら凄い。
そんな黒子テツヤの印象に、「目が綺麗」ってのと、「幻のような笑顔が可愛いかも」ってのが加わったそんなある日。
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途中から疲れて適当になった
メンゴ←