Q174 の前 妄想 仲良しキセキな 赤と黒
ネタバレがほんの少しだけあります
赤司のキャラ崩壊?
OK?
**遊びたい盛りです
「やだ」
「やだじゃありません」
「い、や、だ」
「……赤司君……」
呆れてものも言えなくなってしまった黒子に、赤司は主張する。
「だって、ずるいじゃないか。テツヤも大輝も真太郎も東京組だからいつでも会えるだろうけど、僕と敦は京都と秋田なんだぞ。こんな機会めったにないんだぞ」
同じ東京都だからといってそんなに気軽に合えるものではないのだが、というか黄瀬君は?とは突っ込まず、黒子は黙って赤司の言い分を聞いた。
「みんな揃う事なんて、もしかしたら年末には里帰りできるかもしれないけど、でも、今日を逃したら会えないかもしれないんだぞ!今日の午前中洛山は自由行動にしたんだ!敦も試合が終わったばかりで今日の午前は自由行動だって言っていた。なにより、なによりだ。僕だけがテツヤを交えて会話をしていない!久しぶりに会えたのにこの間はなんか変な眉毛はいるし変なのはいるし!僕はもっとみんなとゆっくり話したかった!僕だけ仲間外れか!?ずるいずるいずるいずるいっ」
電話口の向こうで駄々を捏ねる元帝光中キャプテンのぶすっくれる姿を想像してしまった黒子はため息しか出てこない。
突っ込みどころが多すぎる。
「テツヤ……、なんだいその態度は。お前は嬉しくないのか、会いたくないのか、遊びたくないのかっ!!」
耳元で叫ばれて、いい加減に黒子が青筋を立てた。
「あのですね、赤司君」
「ん?」
「今、何時だか分かってますか?」
「何を言うかと思えばそんなこと。分からないわけがないだろう。馬鹿にしているのか?」
「いいから答えてください」
「三時二十三分」
三時二十三分。
三時だ。
昼の三時じゃない。
朝の三時だ。
昨日は陽泉と戦い、今日は海常との準々決勝。
だいたい洛山も昨日試合があったはずだし、今日だって緑間のいる秀徳との試合があるはずだ。
どうしてこんな夜遅くとも朝早くとも取れる時間に、体を休めて試合に備えなければいけない時間に自分たちは電話をしているのか。
答えは簡単。
赤司が黒子に電話を掛けたから。
「今日はあと数時間もすれば準々決勝なんですよ?わかってますか?」
「テツヤ、さっきからなんなんだお前は。僕のことを痴呆症か何かだと疑っているのかい?」
「いいえ、ただ精神異常は前から疑っています」
「そう。それはまあいいとして」
いいんですか。
突っ込みはしない。いつものことだ。
「どこで遊ぶ?」
「ですから、遊びません」
「なんで?」
「なんでって、そんな暇ありませんから」
「試合なら出なければいい」
「なに言っちゃってんですか」
「じゃあ遅刻でもいいよ」
「じゃあってなんですかじゃあって。だいたい君のが先に試合でしょう」
「僕は出ないよ」
「……本気で言ってるんですか?」
「真太郎も出させないし、涼太も出させない。もちろんテツヤも出ないでね。ほらこれでOK」
「なにがOKなんですか意味分かりません」
「テツヤ、人生は楽しく生きなくちゃ」
「……赤司君、真面目に取り合ってください」
1トーン下がった声色に赤司は「ちぇ」とわざとらしく言った。
「久しぶりの友人との会話を楽しんで何が悪いんだ」
「時と時と時と場合を考えてください」
それに。
と、続けて言い、黒子は最後の手段を使うことにした。
「ボク、午前中用事があるんです」
「へ?」
すっとぼけた声を上げた赤司は瞬間に今までとは全く別人のような冷めた声で言った。
「オレよりも大事な用?なんだそれは」
ぞわりと背筋を冷たいものが這う感覚に、黒子はちょっと待ってくださいと叫ぶ。
「待って、待ってください赤司君っ!」
「テツヤ、勘違いしないで欲しいな。お前は――」
「赤司君、聞いてくださいっ。ボクはただバッシュを買いに行くだけです」
「……バッシュ?」
消えた悪寒に安堵の息を吐く黒子。
「バッシュ、壊れちゃったんです。今日の試合の為にも買いに行かないといけませんから」
「あ、そう。じゃあ皆で一緒に買いに行こう」
それがいい、ナイスアイディア僕。
一人で思いついたプランをつらつら言い始めた赤司に黒子は丁重にお断りしますと答えた。
「え、なんだって?」
「丁重にお断りします。と言いました」
「テツヤ……」
再び不穏な空気を感じ取った黒子だが、ここは引かなかった。
「もしかしたらボクらの知り合いに会うかもしれないじゃないですか。それに、外は知らない人ばかりですよ」
「……」
「人見知りが激しい君を連れていけません」
今がどうかは定かではないが、中学時代、親切な店員に怯えていた赤司知っている者としては連れ歩くなんてとんでもない。
本人は口にはしないし、それを隠そうと虚勢を張るから手におえない。
そう、自分の知らない人に話しかけられたりしたら手短な物を凶器にしてしまう赤司の事だ。
他にも理由はいくつかあるが、それは言わないでおく。
黒子だって命は惜しい。
「……でも、みんながいるなら、平気だ」
「嘘言わないでください」
「テツヤ、でも、本当に、もう時間がないんだよ?」
WC準決勝がすべて終わるのは夕方。それも夜に近いだろう。
翌日には3決と決勝が残っているのだ。
午前から始まる試合が終われば閉会式。
それが終われば、帰らないといけない。
多少なら話す時間はあるだろう。
だが、遊ぶ時間は、もう無い。
赤司はそういう意味で言ったのだが、黒子は冷静に返した。
「そうですね、寝る時間がとても少なくなってしまいました」
「……それは、すまない」
時計を見ながら言うと素直に謝罪が返ってきたのは、きっと向こうで同じように時計を見て少しばかり正気に返ったからだろう。
黒子はそれに大変満足すると一気に気が抜けた。
「もういいです。でも、もう寝ましょうね。今日の試合に響いてしまいます」
ベッドに体を横たえて、布団を被り直す。
あと数時間しかなくとも疲れはできるかぎりとっておきたい。
目を閉じるとどっと重たいものが、体に心地よいような何とも言えない負荷を掛けてきた。
「え、ちょ、待ってよテツヤっ、まだ今日の予定が決まってな」
「おやすみなさい、赤司君。今日、がんばりましょ、、ね」
「テツヤっ、テ」
途切れ始めた意識の中、電話代のことも考えて先にぽちっと電源ボタンを押した。
そのまま寝入ってしまった黒子の携帯は黒になり、赤司がその後すぐに何度電話を掛けようとうんともすんとも言わず、アラームが起動するまで黙ったままだった。
「……」
携帯を握りしめ、赤司は酷いと小さく溢した。
「みんな……酷過ぎるっ!」
黄瀬も青峰も緑間も紫原も出ない電話。
漸く繋がった電話の黒子に望みを託していたのに、この仕打ち。
彼の悲しみはWCが終わるまで晴れなかった。
---------------- Q174のラストが拗ね顔赤司様にしか見えなくなった私です