帝光 赤司と黒子
三年の秋 進路 ありがちネタ










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「黒子、誠凛受けるの?」
「!?」

 驚いたのは手を引かれたことと、その勢いで空き教室に引き込まれたことと、声を掛けられたことと、先生しか知らないはずの受験校を知られていることと、その人が赤司君だったこと。
 おかげさまで軽いパニック状態に陥った。

「誠凛なんて、よく受ける気になったね。お前ならもっといいところがあるだろうに」

 随分と、なにを考えているのかわからない穏やかな口調で声を掛けてくる。それが恐ろしい。

「例えば、洛山なんてどうだい?」
「地元ですから……ボクは、誠凛を受けます」

 洛山といえば京都の、ボクでも知っているバスケ強豪校だ。
 キセキの誰かが、もしくはバスケ部の誰かが確実に受けるだろう。
 もしかしたら推薦も貰っているかもしれない。
 例えば、それこそ赤司くんとか。

「そう。それで、お前はバスケをやめるの?」
「っ!」
「ふ、やめないんだ」

 思わず、彼を睨んだと言ってもいいくらいに見てしまったが、赤司君は笑っている。

「でも、オレのいない場所で、黒子はどうする?」
「……どういう意味ですか?」
「そのままの意味だ」
 
 口元に笑みを浮かべたまま赤司君は言う。

「黒子、お前はもっとバスケが上手くなるよ。お前も、天才の一人だ」
「何を、言ってるんですか?ボクは、」
「平均以下の凡人?影?パス回しだけ?違うね。お前はドリブルでも、シュートでも、やろうと思えばアイツらにも引けをとらないプレイができる。まぁ、体力は確かに無いけどね」
「……」

 何を言っているのか。
 体力が無いのは自分が一番わかっている。
 でもドリブルもシュートも、いくら練習してもボクは人並み、下手すると以下だ。
 それだってボク自身が認めている。みんな知っている。
 ボクが今までみんなとプレイできたのは、帝光でレギュラーを取れていたのは、赤司君が見出してくれた影の薄さを利用したパスとスティールがあったからだ。
 それ以外に、ボクがチームに貢献したプレイは無いし、期待されたことも無い。

「なぁ、黒子。お前ははもっと強くなれるよ。いや、強くなってしまう」

 楽しそうに、どこまでも楽しそうに笑う。

「そんなお前と戦ってみたくもあるし、そんなお前を育てたいとも思ってる」
「……どういう、意味ですか?」
「悩んでいるんだ。だから、選ばせてあげる」

 手が、ボクの前に伸ばされる。

「どうする?」

 一瞬、悩んだ。
 久しぶりだった。
 必要とされることが。
 ――けれど、違う。
 必要とされたわけじゃ、ない。

「……すみません」

 その手は取らなかった。

「いいよ。ただし、一つだけ約束だ」
「なんですか?」

 手を引っ込めた赤司君は、いつに無く真剣な表情で言った。

「オレと戦う前に、壊れるな」

 思い返してみれば、故障するなとか、そういった意味だったのかもしれないと思えるが、その時ボクは全く意味がわからなくて呆けた声を出していた。

「は?」
「黒子は真面目だから、心配なんだ」

 それじゃあ。がんばって。
 言って、赤司君はボクを置いて教室を出て行った。








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お優しい赤司様
でも全部自分のためだからただの自己中ともいう