**お父さんは心配性です
世界再生の旅に先発していたコレットたちに追いつき、一緒に行動しはじめて何度目かの宿。
この日はコレットが一人部屋。セイジ姉弟、ロイドとクラトスで、それぞれ二人部屋に泊まることになった。「ロイド」
この時。自称28歳にして実は子持ちのクラトス・アウリオンは真剣だった。
誰がどう見ても、本人も、これ以上ないくらいに真剣だった。「な、なんだよ」
最近知り合ったばかりの(悔しいけど)強くて、(癪だけど)かっこいい傭兵のクラトスから真剣な眼差しを受け、何かあったのかと身構えたロイド(別にその鋭すぎる眼光にビビった訳ではない、たぶん)は、動かしていた手をいったん止めた。
「……………………」
「……いやっ!だから何だよ!!!!」ほんの数秒の沈黙だったが、ロイドは直ぐに伝えられると思っていた「なにか重大な事」が分からず声を荒げた。
もしかして自分を試しているのかとも一瞬思ったけれど、自分の勘は特に異常を訴えてはいないし、思い当たる節もない。
なんなんだよと再度(また数秒二人で固まった後)言うと、クラトスは口を開いた。「……着替え方が扇情的すぎだ」
「 は ? 」
「お前にも分かりやすく言えばエロすぎだ。もっと普通に脱ぎなさい」
「なに言ってるんデスカっ!!!!」センジョ……?とか時が一瞬止まっていたロイドにとっては有難い註釈だったが、素早いツッコミしかでなかった。
「お前の身を案じているのだぞ」
「ちげぇよ!!なにかと言うかなんかちげぇっ!!!!」一気にロイドの中で地位がガクンと下がったおっさんは尚も真剣に説明する。
「今までもずっと思っていたのだが、手袋から始まり、ボタンをひとつひとつ丁寧にとって、少しずつ肌を露出させていく動作だけでも危険なのに、ズボンを先に脱ぐのだけはやめなさい。勘違いした愚か者に襲われるぞ」
「なんの話だよ!!」話の通じない(というか通じ合いそうにない)おっさんを放って置くことにしてロイドは溜め息を一つ吐き、着替えを再開した。
「ごふっ!!!!ロイドっ!!お父さんはそんな風に育てた覚えは有りません!!」
「なにダメージ受けてんだよ!ってか、あんたに育てられた覚えはねーよっ!!!!」十数年生き別れだった親子は再会を果たしたものの、その事実を知らない息子に過剰すぎる愛情を一方的(しかも無意識に)押し付ける父親は、コイツもうダメだと息子に見放され、これは夢なんだと逃避されてもなお、検討違いな(いや、実際ある意味正しいのだがロイド的には理解できない)話を眠りにつこうとするロイドを眺めながら延々ぶつぶつと切羽詰まった表情で呟いていた。
「もうオレ、クラトスと相部屋ヤダ」
「どうしたのさ?」
「なんか意味わかんねぇお説教ばっか言し、念仏となえるしで……すっげぇ疲れた」
「へぇー。そうなんだ」
「今度はジーニアスと一緒の部屋がいいなー」
「ボクも!そしたら少しくらい夜更かししてあそんでも」
「ロイド!!危険だ!!!!離れなさい!!!!!」
「うおぁっ」
「クラトスさん!?」
「やはり私がついていないといけないようだな」
「はぁ?」
「よし。リフィルに伝えておこう」
「ぇえっ?」
「何をだよ?」
「部屋割りの話だ」
「!!」
「!!」