※テセアラ初期の宿屋風景をイメージ

 

 

**いつものこと

 

「ロイド、ゼロス。同じ部屋でいいわよね」
「や」
「はーいっ!オッケーオッケー。どーんとこい」
「あっ、このっ!!」
「では決まりね。お休みなさい」
「リフィル様また明日〜」
「せんせぇ〜っ!!」

 そんな会話をしたのがついさっきだ。

「……なーんで嫌がるのかねぇ」

 部屋に着き、荷物を置くとゼロスは外套を羽織った。

「別に、オレは出掛けんだから、いいじゃねぇか」

 いつものことだ。
 こうして二人部屋になると、ゼロスはいつもどこかに行く。
 朝になるといつの間にか帰ってきていて、早々に仕度を終えている。
 いつものことだ。

「……よくねぇよ」

 オレと、相部屋になった時だけの、いつものことだ。
 どうでもいいことだと言ってしまえばそれまでで、一緒に行動するのはほんの短い間だろうから割りきってしまえばいいことなんだろうけど、それでも嫌われるというのは結構嫌なもので、せめて部屋を出ていくゼロスを見ないよう俯いた。

「なんだぁ?いつになく元気ないじゃないのよロイドくん」

 ゼロスはオレとの距離を保ったまま声を掛けてくる。
 これがみんなの前でのやり取りなら多分この距離は隠されているんだろう。
 その、変な気遣いなんだろうかが酷く分かりやすくて、気分が悪くなった。

「お前のせいだろ」

 なんとなく顔をあげられずに、俯いたまま言った言葉は聞こえたのだろうか。
 しばらくして、あのなとゼロスの声が聞こえた。

「一度しか言わねぇぞ」
「うん?」

 反射的に顔を上げると背中を向けたゼロスがドアに手を掛けている。

「オレは、お前が嫌いだけど、そんなに嫌いじゃない」

 朝には戻ると最後に付け足すと、バタンと一枚壁の向こうに姿を消した。

「……なんなんだよ」

 オレは訳がわからずベッドに倒れ込んで笑った。