「ゼロスの髪ってきれいだよな」
「……ロイド君」ゼロスはため息を吐いた。
**安い男
「そりゃぁね、一応ロイド君と違って俺様お貴族様だから爪とか肌とか、髪とかの手入れは欠かせねぇの」
ふんっとそっぽを向いたゼロスに首を傾げる。
「なんだよ。しなきゃいけないのか?」
「べっつに〜。俺様は好きだから苦じゃねぇよ」綺麗にすれば、得することも大いにあるからなと笑えば呆れ眼を向けられるかと思ったが、目で追ったロイドは予想外なことに真摯な眼でこちらを見ていた。
「じゃあなんで怒ってるんだ?」
「……怒ってねぇよ」怒ってはいない。
相も変わらず目敏いロイドにまた一つため息をはいた。
肝心なところに疎くて困る。「なんだよゼロス」
むしろロイドの方が焦れてイラつき始めた。
「俺はロイド君の髪好きよ」
「は?いきなり話変えんなよ」やはりあらかさま過ぎたかと反省したが、そのまま続ける。
「その、ちょっと硬めの髪、好きよ。ひにちょっと焼けた色も。髪型は……まぁ、どんなロイド君も好き」
「えっ、カッコよくないか?」
「カッコイー」
「全然そう思ってないだろ」
「そんなことナイワヨー……はぁ」またもやスルーされて正直凹む。
「だから、どうしたんだよ」
……まだ覚えていたか。
我ながら女々しい理由だということは理解している。
そんなことをロイドに言ってもまた凹む自分が目に見えていて言う気になれない。「おいゼロスってば」
あぁ、でも正直に言ってしまった方がいいのかもしれない。
この超鈍感男には。「……髪」
「ん?」顔を背けたまま続ける。
「皆の髪、好きなんだろ?」
この間はしいなに言っていたし、その前はリーガルにも言っていた。
コレットちゃんに言うのはもう何度も聞いたし、プレセアちゃんなんか髪を結ってもらってた。
リフィルセンセとその弟の髪だってキラキラ光って綺麗だと。「そんだけ」
「……で?」
「だぁら、そんだけ!」正面から怒号にも似た声で言ってもロイドはびくともしなかった。
「うーん。とりあえず、お前の髪ちょっと弄らせてくれよ。髪飾り作ったんだけど、ちゃんとお前に合うかわかんねぇから」
「……ハニーっ!!」我ながら安い男だと、ゼロスは髪を結われながら思った。