現パラ
コネタTEXT化話
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「午前中は所々で雨が降ります。この雨は午後には通りすぎて、晴れ間が覗くことでしょう」
雨のち晴れ。
降水確率は70%だった。
**少し、雨宿り
失敗することは誰でもある。
何故なら人間は失敗を重ねて成長する生き物だからだ。
どこかのお偉いさんもたしか言っていた言葉。
そんなことを考えた。
「げっ、降ってきた」
家を出るときは晴れだった。
予報では「所々で」と言っていたし、確率は70%だったからと傘を持ってこなかったロイド。
それにしたって30%によくも賭けるものだと思うかもしれないが、一番重要なのは荷物が増えるか否かの問題だ。
体を濡らしていく雫が徐々に大きくなっていく。
家まで走って帰っても、この調子だとずぶ濡れになることは必至だ。
一旦学校に戻るにしても、それだったら家に向かっても変わらないような距離。
瞬間迷っていたロイドにゼロスはひらめいたように言った。
「家来る?」
なるほど。
確かにゼロスの家(というよりマンションだけど)はここから歩いて五分も掛からない所だ。
今さっきこの別れ分かれ道で挨拶をしたばかりだが、そんな小さなこと二人は気にしなかった。
「行くっ!」
二人は駆け始めた。
「んじゃ、次オレ入ってくるな」
数分足らずで駆け込んだ先で、ゼロスは直ぐにロイドを風呂場に押し込んだ。
有り難くシャワーを借りて暖まると、鴉の行水が如く素早くそこをゼロスに明け渡した。
替えの服はゼロスの服だ。
さっきまで着ていたのは乾燥機へ迷わず突っ込んだから当然といえば当然。
「先奥行ってるぞー」
「ぉー」
何度もお邪魔しているから遠慮も迷いもなにもない。
ロイドはズボンの裾を引きずりながらダイニングを抜け、ゼロスの私室に足を踏み入れた。
意外にこざっぱりした部屋。
真ん中に敷かれたふわふわの絨毯を囲むように置かれた勉強机と、小さなタンス。それから大きめのベッド。
ほとんどの私物はクローゼットに隠れているからそれしか見えない。
ロイドはここでも迷わずベッドに腰を掛けた。
そのまま仰向けに寝っ転がると、徐に枕の下に手を差し入れる。
「……ちぇっ」
目当ての物がなかったらしい。
しかし、よく考えればそんなベタなとこにあのゼロスが置くわけが無い。
またもや不満の声を漏らした。
「ちぇー……」
「どったの?」
仰向けになっているロイドの真上にゼロスが現れた。
鴉の行水にしたって限度があると言いたくなるほど早いお帰りだったが、ロイドはその点気にしなかった。
「なんでもないよ」
「そ?」
ゼロスもまた、特に気にせず隣に腰を掛けた。
「で、どうするよ」
「うーん……」
窓の外を見ればザアザアと雨が容赦なく降っている。
一応、天気予報のお姉さんは午後には晴れると言っていた(午後から降りだしたけど)。
晴れるのか不安になりそうな模様だけれども傘を借りて帰るより、
「寝る」
「ああそう……っては?」
ロイドはごろりと体勢を変えて移動し、ベッドに横たわった。
「じゃ、雨止んだら起こしてくれよゼロス」
「ちょっと待ってよロイド君」
若干情けない声を上げながら、ゼロスはロイドの肩を揺さぶる。
「そりゃないでしょっ」
「いいからいいから」
「どこもよくないだろーが」
尚も肩を揺らし続けているのにも関わらず、ロイドは目に見えて夢の世界への扉を叩いていた。
「ロイドくーんっ」
「ぜろすー」
半開きの目と口が、ふにゃりと笑顔を作った。
「おやすみー」
ロイドは目を閉じた。
間もなくスコスコと寝息を立て始める。
「……こんなんあり?」
雨はまだ止む気配がない。
止んだら起こしてくれと(めちゃくちゃ強制的だが)頼まれた手前、自分は起きていなければいけない感じだ。
ゼロスは大きく息を吐いた。
「……別にいいけどー」
ふと手を伸ばし、ロイドの額にかかった髪を払う。
今眠りに入ったばかりなのに、全く起きそうにない。
いつでもどこでも即眠れるこれは特技なんてレベルじゃなくて寧ろ奥義だ。
ゼロスは暫くロイドの寝顔を眺め見ていたが、起きる気配のないロイドに改めて息を吐くと立ち上がった。
一度部屋から出て行き、戻ってきた彼のその手にはデジタルカメラ。
――寝る方が悪い。
ゼロスは徐にシャッターを切り始めた。
カシャカシャと角度を変えてロイドを撮っていく。
軽く十枚は撮ったところで、カメラのお役目は終了した。
カメラを元在った場所に戻し、今度は本を手元に持ってくる。
一人で出来ることなんて少ない。
仕方なしにそれを開いて暇潰しを始めた。
パラパラと乾いた音と、規則正しい寝息。
――それが耳に馴染んできた頃、ゼロスはふと顔を上げた。
次いで首を捻る。
じわじわと痺れる首の運動を済ませると窓の外に視線を移した。
雨はいつの間にか止んでいたようで、ポタポタと不規則に落ちてくる滴しか見えない。
うっすらと光も射し込み、部屋を淡く照らしている。
そんなに時間は経っていないというのに、随分な通り雨だったなと思いながら隣で眠るロイドに手を伸ばした。
――が、その手が止まる。
雨が止んだら起こしてくれと頼まれたと言うことはつまり、雨が止んだら帰るということではないだろうかと、今更ながらに気付いたのだ。
それは困る。
いや、困ると言うか、なんというか……。
せっかく家にいるのだから、少しくらい一緒にゆっくり話す時間が欲しい。
着いてすぐ、そんな暇もなくロイドが寝てしまったのだからその欲求は普段よりも少し強かった。
そろりと伸ばしかけた腕を引くと、タイミングよくロイドが身動いだ。
「ん……」
うぉおっとっ。
バクバクと無駄に驚いた心臓を宥めながら、ゼロスはそろりそろりとその場から離れる。
「もう少し、寝てろよ」
言い聞かせるように、囁くように、聞こえやしないだろうがゼロスはそう言うとソッと部屋を後にした。
「ロイド君、起きて」
「んー……」
目が覚めてまず目に入ったのは大きな影。
「ぁー……?」
「起きないとちゅーすんぞ」
近付いてきた黒い影をロイドは咄嗟に危ないと思い、思いきり掴んだ。
「いだっ!」
「……あれ、ゼロスじゃん」
言うまでもなくそれはゼロスの頭部であり顔だ。
「ひっどいよロイドくーんっ」
鼻の上から押し潰すように顔を掴まれたゼロスは涙目になりながら非難した。
「あー、ごめん。……でも、いきなり寄ってくるお前も悪いだろ」
まだ片足が夢の中から出きれていないロイドはハキとしない口調でそう言うと、むくりと起き上がった。
「で……、なに?」
「ヒドっ!」
ロイド君が起こせって言ったくせに、と泣き真似を始めたゼロスを放ってロイドは外をぼんやり眺めた。
淡い光が雲間から照っている。
「あっ、雨止んだのか」
それで目が覚めたのか、今度はハッキリとした動作でゼロスに向き合った。
「ありがとな」
ニカリとひとつ笑うと、ベッドから降りた。
まさか予想通りそのまま帰る気かと焦ったゼロスは思わず叫んだ。
「待て待て待てっ!」
「ん?」
軽く伸びの運動をしながらロイドは応える。
「なんだ?」
「もしやこのまま帰る気?」
「え、だって悪いだろ」
あまりに突然の訪問だし、乾燥機に入れた服も乾いてるだろうし、と珍しく殊勝に思ったロイドはソレを一秒足らずで山の向こうへと投げ捨てた。
「せーっかくお菓子用意したのに?」
「え、マジ?」
「マジマジ」
「さっすがゼロス!」
準備体操もそこそこに、ダイニングへ飛び込むように駆け出した。
「だーっ、もうっ、待てってばロイド君っ」
「おぉっ」
テーブルの上に並べられた菓子を見て感嘆の声を上げた。
大きな丸皿の上にスナック菓子が明け広げてあり、小さな皿二つにはそれぞれ薄く色のついたゼリーが乗っていた。
「えっ、マジ食べていいの?」
「オレ様の分もあるってわかってるよね?」
「わかってるよっ」
言いながら早速席に着いた。
「麦茶もあるけど……?」
「いるっ!」
トクトク注がれる麦茶に氷が追加され、パキリと氷の割れる音がした。
なんだか悪いなぁと思いつつも、美味しそうに並ぶそれらを見ると顔が弛む。
「イタミにツクシルって感じだなっ」
「それを言うなら至れり尽くせり。ついでに言うならコレはオレ様の愛だぜ〜」
「うーん、嬉しくないかも」
「ちょっと〜、そりゃないでしょー?」
「あははっ」
カタリと向かいの席にゼロスが着いた。
「それじゃ、いただきまーすっ」
食べ盛りの育ち盛りに今の時間なんて関係ない。
満面の笑みを浮かべてロイドは手を伸ばした。
ほんの一時の予定だった雨宿りは、まだもう少し、彼らの談笑と食欲が一区切り着くまで続く。
携帯版に遅れてPC版にアップ〜〜っ!!!
コネタテキスト化第一段(予定←)です
「コネタ(倉庫入)」の「少し、雨宿り」と 6/9に「コネタ」に載せたものをくっつけて加筆して修正した代物です
「勝負師〜」の行は好きでしたが敢えて削除
多少変化を付けてみました
雰囲気が「コネタ」版とかなり変わった気がしますね はい理解してます
私も驚いて……というよりアレレ?な感じでいます←
設定を「あなたならどうする?」と同じものと改めて想定し書いたからかもしれないです
――つまり カメラで撮った写真は携帯に……(^^ニコッ
はい どうでもいい裏設定でした←
ここまでお付き合いくださいましてありがとうございました++