付き合ってる二人



**Happy time in Halloween



「菓子」

 掌を上に差し出してユーリは言った。

「……持ってない」
「だろうな」

 差し出された方のデュークは、今手持ちに菓子がない事を正直に答えたが、答えた後になって首を捻った。

「随分と唐突だが、なにか約束でもしてたか?」

 己が忘れていたのだろうかと思いながら言った言葉は首を振られた。

「いいや。約束してたらアンタはちゃんと覚えてるだろ」
「買い被るな。私とて忘却することはある」
「オレとの約束でも?」

 頭を横に倒しながら、ほんとうに?と尋ねるユーリにデュークは頷いた。

「――不確かな事は言えんからな。これから先、お前を悲しませてしまう可能性は充分有る」

 すまない。
 ユーリは笑った。

「おいおい、謝るの早いだろ」

 カラカラと笑うユーリはふと唇を結び、口端をにぃっと上げた。

「一個、だけ。その約束だけ守ってくれりゃオレは何忘れられたってかまいやしねぇよ」
「……なんだ?」

 果たしていない約束は無い。
 ならばこれから取り付けるのだろうと踏んだデュークが問うた。

「幸せ。そう、できる限りの時間、幸せでいてくれ」

 簡単だろうと言ったユーリに、デュークは小さく笑みを溢す。

「約束というのかそれは」
「願いとも言うな」
「なら簡単だ」

 くっ、とユーリの腕をデュークが引いた。

「お前が傍にいればいい」

 身体が軽く締めつけられ、腕の中でユーリは笑った。

「安い幸せだな」
「なんとでも言え」
「っん」

 言えと言いつつ塞がれた唇。
 食むよう、吸うように幾度か繰返されたそれが止むと、ユーリはあーあと呟いた。

「……イタズラ、出来なくなっちまった」
「なんだ?」

 きゅっ、といつの間にか背に回されたユーリの腕が更に肌を寄せた。

「お前のキスは甘いって話」

 幸せの時間はまだ続く。