**理由

 

 ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅと軽い音を立てて、デュークはユーリの額や眉毛、目尻に鼻筋へと順に唇を落としていた。

「……お前、なにがしたいんだ?」

 あんまりにも突然かつ、意味のわからない行動に驚き硬直していたユーリは鼻先に唇を押し付けられてようやく覚醒した。

「したい、とは?私はただ見たいだけだ」

 今度は頬にまた唇が触れて、くすぐったくて恥ずかしい。
 だいたい、ほんとうにただ触れているだけなのに音をわざわざ立てる理由が不明だ。
 いや、吸われても困るけど。

「じゃあ、なにを見たいんだ?」

 つうか、いい加減にしろと、またもや迫って来た顔を止める為、ユーリはデュークの鼻から下を覆うように掴み接近を止めた。

「……」
「なにが見たいかは知らねぇけど、他人様に迷惑かけるような行動すうおぁあっ!?おまっ!!」

 手にぬるりと冷たいような、生暖かいような柔らかいものが這い、あまりの出来事に思わずばっと手を離した。

「っなにすんだっ!」
「自覚無し、か」
「なにがっ!」

 それとも、本人が自覚している感覚とは違うのだろうかとデュークがぶつぶつと呟き考える。
 こちらを深紅でとらえて離さないくせに意識は違うところに行っているであろうその様子。
 居心地が悪い上、少しムカつく。

「おい、デュー……っ!!??」

 声でもかけようとしたら、口を塞がれた。
 たったの一瞬。
 例に漏れず、触れるだけのものだった。
 けれども効果は抜群で、ユーリは目を見開きその場に固まった。

「……私は、お前のその顔が好きだ」
「……な、に?」
「だから、見たい」

 キスを受ける度に眉を釣り上げ、ほんの少しの間だけ朱に染まるユーリの頬にまた唇が触れた。