付き合ってる二人
わがままユーリと甘いデューク


現代パラレル
ほんのちょこっとあれだけどセーフでしょセーフ
若干管理人投げやりになってる

そんな年越し話






**白ウサギと黒ウサギ




「さみぃーっ」

 ぎゅむっ。
 抱き締めた柔らかい物体はぐにゃりと腕の中で捻れたが構わず強く抱き締める。
 ふわふわの白い毛がぬくぬくとしているが如何せん密着している表面積が少なく思ったよりも暖を取れない。

「あー寒いっ」

 白い長い二つの耳の間に顔を挟みながらユーリは寒いと繰り返す。

「なら此方にくればよかろう」
「嫌だね」

 ふんっと鼻を鳴らしながらユーリが言うと、デュークは一つ息を吐いた。

「そんなものより私の方がいいと思うぞ」

 ほら。
 腕を伸ばしたが、ユーリはあからさまに顔を背けてツンと言った。

「来年は兎年だから」
「なんだその理屈は」

 正直、恋人と同じ部屋に居るのに何故たかだかウサギのぬいぐるみごときに構い倒すのか理解できない。
 なにを拗ねているのやら。

「ユーリ、言いたいことがあるなら言え。わからない」

 折角一緒に年を越せると言うのにこれでは一人で過ごした方がましだ。
 ぬいぐるみごときに嫉妬の念を抱き始めたデュークが苛立ち混じりに言えば、ユーリがようやく視線を寄越した。

「………………ウサギ」
「…………は?」

 暫く無言で見つめ合っていたかと思えば、ウサギの一言。
 思わず呆けたデュークにユーリはまたあらぬ方に視線を戻して独り言のようにわざとらしく言った。

「オレのウサギ。赤い目で、しろーい耳、付けててー、寂しがり屋だからー傍にいてやんなきゃいけないんだ」
「……」

 白い耳がやけに強調されていた気がするのは気のせいか、いや違う、たぶん違う。
 そういえば、隣の部屋に何故かウサ耳バンド(白)が置いてあった気がする。
 ユーリがまさか自ら付けるのかと思ったが……、

「……」
「来年、兎年だから」

 未だ目を合わせないユーリが微かににやりと笑った気がした。
 ……つまり、付けろと。
 デュークは暫く顎に手を添え考えた。
 反応の無いデュークを気に掛けつつも、『ウサ耳を付けたデュークを見たい』という願望に捕らわれ、デュークは自分に甘いと理解しているがゆえの作戦をユーリは変更するつもりはない。
 最終的には折れて必ず付ける。
 その自信があった。
 ユーリ自身、ウサ耳を付けろと言われたところで拒否するが、デュークはきっと付けてくれる。
 可愛いだろうなぁなんて楽しみに待っているユーリの思惑通り、観念したのか深く息を吐きながらデュークは立ち上がった。
 気持ち重たげに隣の部屋に足を運んだデュークを見届け、笑みが深まるユーリ。
 普段可愛い可愛いと自分に向けてデュークは言うが、デュークの方が数倍可愛い。
 その可愛いさを更に引き立てるアイテムが世には存在するのだ。
 丁度よく兎年だし。
 見ないのは損。
 ……装着に手間取っているのか、少し遅い。
 思い始めた頃、丁度よく待望のウサ耳デュークが現れた、
 頭部に白いふわふわの長い耳を付けて、少し不機嫌そうに。
 そんなデュークも可愛いと、ユーリが溢れ出る笑みを溢しながら迎えた。

「やっぱ超似合う」
「……」

 側まで寄り、隣に腰を下ろしたデュークの頭をご機嫌に撫でるユーリ。
 揺れる白い耳ににやにやとするその目の前に、ふよんと黒いふわふわが現れた。

「ん?」
「当然、お前も付けるだろう?」
「え?」

 よく見れば、デュークの頭に付いているのと同じ様なものがデュークの手に握られていた。
 色は黒だがしかし紛れもなくウサ耳。

「……え、なんで?」
「まさかお前も用意しているとは思わなかったがな」

 も。
 互いに互いが世界で一番可愛いと思ってるバカップルだ。
 デュークも同じ様なことを考えていたらしい。

「……オレは付けねぇよ」
「………………白ウサギは、黒ウサギに会うことを楽しみにしていたのだが……残念だ」

 言いながら耳を外そうとするデュークの手からユーリはウサ耳を奪い取った。

「っ、ちょっとだけだからなっ!」

 自分がウサ耳を付ければ大人しくウサ耳を付けていてくれるらしい台詞に、我慢することにした。
 確かに互いに痛み分けだと言い聞かせ、それを付ける。

「……これでいいか?」
「私の台詞でもあるが……」

 デュークがうむと頷いた。
 白い耳がふわふわ揺れる。

「よく似合っている」
「それオレの台詞」

 黒い耳も頭上でふわふわ揺れ、なにか普段と違う違和感を感じながらも目の前のウサギにユーリも満足気に頷いた。

「やっぱすげぇ似合ってる」
「それは私の台詞だと言うのに……」

 言いながら二人は肌を寄せあった。

「やっぱあったけぇな」
「まったく……回りくどい」
「いいだろ?どうしても見たかったんだから」

 ぺったりとくっつくユーリを腕で抱き寄せながら、その姿を目に映す。

「……可愛いな」
「お前がな」

 すかさず反論されたが、デュークの機嫌が悪くなることは無かった。
 代わりに、ユーリが顔をしかめた。

「ちょ…………おい?」
「なんだ」
「どこ、触ってる?」

 腰に回され身体を引き寄せる腕とは違う手が別の場所をまさぐっている。
 腕は良し。自分も背中に回してくっついているから。
 しかし手はなんだ。

「ユーリは白ウサギが好きなんだろう?」
「んっ、ちょっと……っ」
「少しはウサギらしいことでもしようかと思ってな」
「ぁ、っそんな、ん、っはぅ」
「さて、ウサギの少しはいかほどかな?」

 楽しげに笑う白ウサギが黒ウサギを解放したのは日の出頃。
 すっかり寒さなど消え失せて、熱すぎるほどに熱い年越しを迎えた。