下町時代

 

**なんでかお前に負けた気がしてならない

 

 フレンの色だ。
 見上げた空の青さに少し吃驚した。

「ユーリ?」

 名前を呼ばれて隣を見れば不思議そうにこちらを窺うフレンがいた。
 そういえば、なにか話しかけられていたかもしれない。

「悪い、なんでもない」
「なんでもないって、なにかあったの?」

 ぼんやりしていたことを詫びたら変に勘ぐられた。

「どうしてそうなるんだよ」

 なにかずれてる気がする質問にそう問えば、「君に謝られるような会話をした覚えがない」だなんてやっぱり見当外れな答えが返された。
 適当に返事を返したら眉根を寄せられてしまい、仕方なしに『なんでもない』ことを言う。

「オレはただ、お前の話聞いてなかったから謝っただけだ」

 もうこの話は終いにしようとユーリは歩き出したが、どうもフレンは納得がいかないらしい。
 半テンポ遅れて隣に並んだ。

「ホントにそれだけ?」
「それだけ」

 妙なところでしつこいなと思いつつ、なぜか照れくささを感じて今日の空を映したような瞳から目を反らした。

「ふーん……」

 意味深になにか呟くフレンが笑う気配がして、ユーリは何故か無性に居心地が悪くなった。