恋愛経験知識の浅く混乱する先生と
知識は豊富な行動派生徒









**ある放課後のとある準備室



「先生、」
「……」
「せんせー?」
「……」
「おーい」
「……」
「……ま、いっか。じゃあな先生、また明日」
「……待てっ!」
「うおっ!生きてたのか」
「お前、今なにをした」
「えー?キス」
「何故?」
「先生がしたことねぇって言ったから、オレがしたらファーストキスじゃん。ラッキーみたいな」
「初めてというのは運がいいのか」
「そういう意味じゃなくて、オレがアンタのこと好きだからラッキーなの」
「好き?」
「そ。変か?」
「お前は、たしか男だろう」
「先生は女みたいだけどな」
「私は男だ」
「うん、知ってる」
「……」
「やっぱ嫌だった?」
「……」
「でも、返せないからな」
「……」
「だから先生、また明日な」

 なにが「だから」で「明日」なのか理解出来ない上に「返せない」だとか「嫌だった?」が何に掛かってるのかもわからないけれど、「男」の自分に「男」が、しかも「生徒」が「キス」してきたと言うことに「ラッキー」だとか言われたらそういう対象に見られているのかというのはわかったが何故そうなったのかはわからない。
 それに「好き」と言われたことや「キス」された時の唇が触れた感触だとか、嫌じゃなかった事が自分でも理解できない。
 「また明日」というのは明日もまた唐突に唇を合わすことを宣言されたのか、そのままの意味で他意は無かったのか、もしも前者ならば寧ろ、自分から奪いに行きたいと思ったのはきっと年下に後れをとられ、くだらないプライドのようなものが疼いたからなのかもしれない。
 とりあえず、今なにが起きたのかは理解したが明日から自分はどうすればいいのだろうか。
 悶々と考え続け、見廻りのレイヴンに叩かれるまで悩み続けた今後の行動方針は出ないまま日は明けた。