恋人未満のお二人さん
**息だけはピッタリ?
好きだと言って、返された言葉も同じで、恐らくはまぁ二人とも同じ友情(なんてものがそもそもあったのかはわからないが)を通り越した意味での好意だろうなと思うのはただの願望なのかなんなのか。
いま一歩自信が持てなくて、確証が無くて、無駄にイラついたりなんかして自己嫌悪に陥ってと忙しいのは自分だけのようで涼しい顔をしている男にまた疑惑が沸く。
本当は、自分とは違うんじゃないか。
確かめるためにももう一度試みたい所謂告白と言うものが、存外気力体力をごっそり持っていくのは既に経験済みの為なかなか踏み出せずにいる今は会話も何もなくただただ隣に立っているだけだ。
あと一歩。一言。一秒も掛らないはずのそれが出ない。
溜息を吐いたら隣の男のと偶然にも重なった。
間違いなく好かれているという確証はしかし言葉と言う曖昧なもので、本人の口から告げられたとしてもどこか自分の求めるものとは違うように聞こえて変化のない現在。
ただ一人を特別だと思い、ただ一人の特別になりたいと思ったのにも関わらず、変化を恐れて躊躇っている自分を自覚してからは余計にそういった話題を避けている。
それに気づいているのかいないのか、青年もあの日以降明確な好意を示す言葉を口にしていない。
元々そういった性格なのかもしれないが、それでも思うのはあの時の言葉に己と違って他意は無かったのではないかという可能性だ。
全く否定しきれないのは、自分の目から見ても明らかに大切にしているのであろう人を前にしても一度も彼からそう言った言葉を聞いたことが無い上そんな素振りを見せることもないからだ。
自分もその中の一人なのではないか。
変化のない関係はそれを肯定しているようにしか思えなく、他意のある自分から行動を起こすのはどこか気が引ける。
かといって折角二人で会えた時間を自分からふいにすることは出来なくて、ただただ隣に立ったまま時間を潰す。
どうしたものかと吐いた息は何故か隣からも聞こえた。