下町時代

いつも騒がしい下町が
珍しく平和だった日の午後

 

**平和すぎるのも困りものだ

 

「つまんねぇ……」
「そう?」

 ユーリとフレンは並んで座っていた。

「ああ、まぁ、特別なにもしてないしね」

 そうかもしれないと言うフレンに気だるげにユーリが項垂れた。

「なんだその、別に僕は気にしてないけど、みたいな態度は」

 こちとら退屈で死にそうだと空を仰いだユーリにフレンは笑った。

「よくわかったね」
「マジかよ」
「こんなにゆっくりできるのは久しぶりだし、君がいれば退屈なんて事は黙っててもないからね」
「そりゃ悪かったな」

 そのままごろんと後ろに倒れ込んだユーリ。

「ユーリ、背中が汚れるよ」

 フレンがたしなめるが、聞いていないのか、ユーリは腕を頭の下に敷き、寝る体勢にはいった。

「ちょっとユーリ」
「うるせぇ。オレは寝るんだ」

 ころんと背中を向けられたフレンは嘆息した。

「近いんだから、ベッドに行けばいいのに」

 歩いて数分足らずでふかふかのベッドに行けるのに、なぜこんなところでとフレンは呟く。

「聞いてる?」
「聞いてない」
「聞いてるじゃないか」
「……」
「ユーリ。ちょっと、ねぇ」

 ゆさゆさ肩を揺すったがユーリは日が落ちるまで黙りこんだままだった。