**判断ミス

 

 思い返せば、魔が差したとしか言いようがない。
 ただその時はいつもやられてばかりなのは癪だと、ふと思ってしまったんだ。
 確かに負けず嫌いの気があると、人にいくらか言われることもあるし、自分でもそうだとは少しくらい自覚している。
 それにしたってそりゃないだろうと、事を起こした後冷静になって考えた。
 そこに弁解の余地が有るかどうかはわからないが言わせてくれ。
 この、ズレてしまった感覚の要因は間違いなくデュークだ。

 

 ちゅ。
 軽い音を立てて唇が離れた。
 同時に胸元を掴み寄せていた手が離れる。
 仕掛けた本人は、目を見張って驚くデュークの様子に笑った。

「ははっ、アンタもそんな顔すんだな」

 奇襲が成功したと言わんばかりに、してやったり顔のユーリ。
 目を数回瞬かせたデュークが先程接触していた所に指を這わせた。

「随分と……」
「うん?」

 いつもより若干ゆっくりと、呆けたように言葉を発したデュークは、その手をユーリの顎に添えた。

「……随分と、可愛いことをするのだな」

 くいっと持ち上げられた顔に、影が落ちた。

 

 

 

 魔が差したと言う以外に、なんて言やいい。