ちょい暗い
ありきたりネタ
**無性に、
「デューク?」
デュークが横になっていた。
「デューク」
近づいて、その肩を揺する。
「デューク」
こてんと力無く首がこっちに傾いた。
刹那、その口端から溢れた赤に息を飲む。「なっ!」
驚いて身を引くと、足元で水音が鳴り、びちゃっとデュークの腕を汚した。
「デュー……ク?」
いつもよりも白い顔。
ありえないくらい無防備な姿。
返ってこない声。
開かない目。
足元に広がる黒い赤。「……ぁ、」
カシャンと音を立てて何かが手から滑り落ちた。
追うように視線を下に移す。
――見たくない。
違う。そんなことしてない。
オレはやってない。
ちがう。やらない。
オレは、やってない。
――見たくない。
見たくない。見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな。「……っ」
白銀と赤。
「……が……ぅ」
血がついた刄。
「ちが……う」
汚れた手。
「ちが、う」
オレが――
「違うっ!」
「ぅっあ!」
跳ね起きた。
心臓が壊れそうなくらい跳ねている。「……ゅ、め?」
思わず手を見た。
汗ばんで濡れている。
シーツで無造作に拭った拍子に顔から何かがぽたりと落ちた。
不快に思った顔を拭けば濡れる袖。「……はっ、ガキかよ」
夢を見て泣くなんてという独り言は出なかった。
喉の奥が熱くて、声にできなかった。
――っとに、いくつのガキだよ。無性に、会いたくなった。