ユーリさん小説家 現パラ
これの続きといえば続き
読まなくてもたぶんおk


作家ユーリに恋してる幼馴染みフレンと
ユーリとお付き合いしているジュディス


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昼ドラ未満
三角関係
ちゅぅーとはんぱ
ナニそれ聞いてない展開
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おけですか?











**僕は惑う



「今度の、お前にはやらないから」

 は?と呆けるのも仕方ないだろう。脈絡がまるでなかったのだから。

「なんの話?」
「今度出す小説」

 ユーリは現在大学生。高校の頃から文字を書き綴る、売り出し中の作家だ。
 そんな彼と向かい合って食事をしていた幼馴染みのフレンは首を傾げた。

「それって、いつもみたいにくれないってこと?」
「ああ」

 今まで新作を書けば、必ず見本品を一番にくれていたのにどんな心境の変化だ。
 まさか売上を一冊でも伸ばそうと言うのか……?

「あ、お前が買うのも無しな」
「……それは読むなって言ってるの?」
「ああ」

 そっけなく返す彼に頭を捻る。
 売上云々ではないらしい。
 しかし、なぜ今更……?
 今日に至るまで二十数冊という驚異的な執筆スピードで刊行していく彼の作品全てを読んできたのに、なぜ今更?
 悶々と悩んでいるうちに、いつの間にか僕は学校へ来ていた。
 流石に取っている科目も所属してる学部も違うから殆ど校内でユーリと会うことはない。
 一時期はこれを期にユーリへの想いを諦めようと思っていたけれど、中高の六年間で無理だったものができるはずがない。
 会えない間は常に授業とユーリの事で頭が一杯だ。
 今日は非常に(授業的な意味で)不味いことに、ユーリのことしか考えられないけど。

「はぁ……」

 いったい、今度は何を考えているのやら。
 まるで彼がわからない。
 わからないと言えば先日の行為もだ。
 いや、ヤったと言うことは理解してるし、僕にとってまたとないであろう貴重な体験だったということも理解している。
 更に言えば、それはユーリにとってはただの実験的な行為だったことも、ちゃんと理解してる。
 だがでもしかし。
 仮にも、同性同士という高いハードルを乗り越えた(?)上で身体を繋げたにも関わらず、なんでなにも進展がないんだろう。
 確かに、ユーリはただ単に小説を書く為だけに行為を強請り、それに至ったわけだけれども……もう少し、こう、ねぇっ!
 なにかあってもいいじゃないかっ!
 心の叫びは声になること無く腹に溜まっていった。
 まぁ、その、色々ヤったわけで、ユーリも驚くほどの行為をしたのにも関わらず朝を迎えて彼の第一声。

「なんか書ける気ィしてきた。あんがとな」

 いつもと変わらない調子で言う彼に呆けてる間に第二声。

「あ、お前家に連絡したのか?早く帰った方がよくね?」

 もうちょっと……もうちょっとさぁっ!!
 色々と、夢とか希望とかユーリに持った自分が悪いのは百も承知だが、期待と不安に心を揺らしていた身としてはやるせない。
 期待も不安も裏切るって凄いよ。
 だなんて冗談も思い浮かばなかった。

「はぁ……」
「どうかした?」
「えっ?」

 ドキリと振り向くと、いつの間にか隣にジュディスが腰を下ろしていた。

「さっきから溜め息ばかり出てるわよ、アナタ」
「そ、そうだった?」
「ええ」

 微笑んだジュディスはミニスカートからすっと伸びた長い足を組み直した。
 ユーリ一筋十数年だったとしても、ジュディスという大変素晴らしい肉体美を持つ女性相手にドキッとするのは男として間違ってはいない。
 別に、だからといって、僕はそういう意味でジュディスが好きなわけではない。
 嫌いなわけでも勿論ないが、どちらかと言うと――苦手だ。

「溜め息の理由はユーリかしら?」

 ドビンゴです。
 そんなことは口には出さなかったが彼女には伝わってしまったらしい。

「あの人も罪な男よね」
「ハハ……」

 乾いた笑いしかでなかったのは勘弁して貰いたい。
 正直、ユーリとお付き合いしてる君には言われたくないと言う言葉をかろうじで喉に留めたのだから。
 とは言っても正式な恋人同士ではないらしい――本人達曰く。
 ユーリは例にもよって例のごとく小説を書くために「彼女」という存在が欲しがっていて、ジュディスはそんな彼のお手伝いだと言う。
 ユーリはともかく、彼女の本心は違うのだろう。
 ジュディスは今まで出会った女性の中でも特に勘が鋭かったからだ。
 その上で、彼女はお互い頑張りましょうと言った。
 事のところつまり、恋敵として認識されたわけだ、……おそらく。
 ――圧倒的に僕の方が分が悪いけど。

「でも、私、負けないわよ」
「えっ?」

 脈絡の無い言葉にフレンは身体を跳ねさせ驚いた。

「な、なに?」

 負けないとは何に対しての言葉だろうか。
 気のせいとしか思えないが、自分を見るジュディスの目が少し怖い。
 以前からも何度か突き刺されるような視線をフレンは貰っていたが、今日は特に酷い。
 穴が開きそうだ。

「勿論、あの人の事。――私の方がまだ有利ですもの」
「え、え?なんの話?」

 あの人、というのはユーリの事だろう。
 しかし、「負けない」とか「有利」とかいう言葉が出てくるのがわからない。
 ぱちぱちと目を瞬かせるフレンに、ジュディスは「あら」と声を上げた。

「彼の新作、まだ読んでないの?」

 ――ジュディスは貰ったのか。
 その事に落胆を隠せない。
 確かに、ユーリはいつもその時付き合っている彼女さんにも必ず本を渡している。
 僕の、次に。
 いつもは自分が一番に貰っていたから正直、優越感を感じていたが、これで名実共にユーリの一番がジュディスになったのだと思わざるを得ない。
 俯いたフレンにジュディスは目を見開いた。

「まさか……貰ってないの?」
「……読むなとまで言われたよ」

 机に突っ伏しそうになるくらい項垂れたフレンは、突然ダンッと叩かれた机の音と振動でその顔を上げた。

「ぅわっ!」
「…………ずるい」
「ぇ?」

 一体何が起きたのかとジュディスをうかがい見た瞬間、身がすくんだ。
 ギンッと朱色の瞳に睨まれ、ユーリもそうだが美人に睨まれるのは物凄く怖いと現実逃避までし始めた。

「……負けないわよ」
「ぇ……えぇ?」
「あなたには、負けないから」
「ええ?」

 僕には負けない、とはどういう意味なのか。
 どう考えても負けているのは自分なのに……。
 フレンが頭を捻ってる間に、ジュディスは珍しくガタン荒々しくと席を立ち姿を消していた。