元始祖の隷長デューク
?ユーリ
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死ネタ 混じり
悲恋 だと思う
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二人がいればなんでも許せるよって方のみ閲覧下さい
** 安らぎの時
『声』が聞こえなくなった。
思い返してみれば、此処のところ暫く聞いていなかったと今更のように思う。
世界の為に、世界に――。
そう思っていたからこその、有り難いとも言えた変化は、受け入れる瞬間も、手放す瞬間も選択させてはくれなかったが、何時の日も拒む理由など無いことに改めて気付く。
「デューク」
「……なんだ?」
不意に呼び掛けられた問いに返すと見慣れた顔が目に入る。
「いや、なんか珍しくぼーっとしてたし…………なんか、遠くに行っちまった気がして、さ」
続く言葉は酷く躊躇いがちに、不安げに発せられついと笑った。
「……んだよ。笑うこたねぇだろ」
「すまない」
「やな顔。にやついてるぜ」
カラリと笑う彼につられてまた自然と笑みが浮かぶ。
「お前が可笑しなことを言うからだ」
「人のせいにするつもりか」
口から出す非難の言葉とは裏腹に、楽しげな声に私は何気無く返す。
「私がお前の傍から離れるなどと、世迷い言を溢すからだ」
腕を引いて胸に捕らえれば大人しくそれに従うユーリにまた一つ、笑みが溢れる。
「私は、ここにいる」
再び進み始めた針。
彼と共に時を重ねる事になるだろう先。
ただ単純にその事に喜びを感じた。
愚かな私は、一度だけ露になった真実に気付かぬまま独り針を進めた。
ユーリがいなくなった。
ある日、突然、なんの前触れもなく。
いくら探しても、何処にも彼と思わしき人物の行方は捉えられぬばかりか事を知らぬ者からは冷やかされた。
幾時重ねようと、変わらなかった。
針は進む。
不自由になった身体でも、動けなくなるまで探した彼は遂に見つからず、結局、私は独りで闇に沈み行く。
走馬灯の様に脳裏に浮かぶのは彼との些細なやり取りばかりで、目から雫が溢れた。
霞む視界が、黒くなる。
「ごめんな」
幻聴が聞こえた。
思わず笑みを溢した。
久方ぶりの、感覚だった。
変わり無い懐かしい香りと感触が五感を支配して、消えた。
彼色の、闇に沈む。