いつの間にか膨らんだ熱は布を押し上げていたが、リタによってぶるりと震えて外気に晒された。
「ひぅっ」
「……ゅ、ユーリのここって……こんな風になってるんだ……」
「く……、はぁっ」
見えない視線が痛い。
勃ち上がったそれは一体リタの目にはどのように映っているのだろう。考えたくない。
「ん……っリ、タ……っ」
見るな。止めろ。
一番声にしたい言葉は中々発音しにくく無駄に息を荒げただけに終わった。
気付けは全身が熱を持って震えている。
先まで弄られていた胸がじわじわと疼いて仕方ない。
もっと触って欲しい。
いや、駄目だ違う。
とにかく早く下半身に溜まった熱を解放したい。
いや、駄目だ違う。
息が苦しい息が熱い。声と一緒に吐き出したい。
そんな無様な姿見せられるはずがない。
何もできなく、ただ、言えない欲求を唇を噛み締め堪えるだけ。
それさえできなくなった。
「ふっ、く……ぁうぅっ!」
「すご、硬い……」
竿に何かが巻き付いた。
それだけのことに身体が酷く反応した。
「ぁ、はっ、あ゛っや、ぃだっ!」
「えっ?」
巻き付くものが、敏感なそれを締め付ける。
そんなに力強くは無いはずなのは分かっているがしかし、激痛とも言える痛みが走り、とにかく叫んだ。
「い゛だいっ!ぃっいだぃい゛い゛っ!」
「え、そんな、ただ握ってるだけで痛いの?あ、そうか、身体的感度も上がってるから……なのかな?それとも元から?」
「や、はなっはなしてぇっ!いだいぃい゛、やぁあ゛っ!」
「どっち?」
頭がイカレそうだ。
もう既にイカレてるのかもしれない。
自分で何を言ってるのかも分からない。
とにかく痛みから解放されたくて、不自由な身体を揺すり動かした。
意味は無かった。
「い゛だい゛っひぎっはっぃい゛い゛あ゛あ゛っ!」
「……わからない。いいわ、今度実験しましょ」
「あ゛っ、ひあっ!」
「このくらいは痛くない?ユーリ、どう?」
突然失せた激痛に変わって、じくじくと痛むそこを労るよう何かが撫でた。
「あ!ぁ……っんっ、んっ……んふぅっっ」
「痛くない?」
ゆっくりと上下に撫でられ、今度は忘れていた熱が再び意識を乗っ取った。
「触るぐらいでいいの?」
「ぁ……うっ……んは……」
「……ユーリ、先っぽからなんか出てる」
撫でるそれが滑るよう移動して、先端を弄った。
「は……っあん、っんっあっ!ゃあっ」
くちくちと鳴る水音に耳が犯される。
「いっぱい出てくる……これ、なに?」
何か聞こえた。
しかしオレはただ先端を弄られる度、くちゃくちゃと音が鳴る度声を上げて息をするしか出来ない。
考えられない。
「あっ……ふっっん……ん!ん……ぁっ、あ」
「ねぇ、これなに?」
「あっ……ぁっ!は……あっ、んふ……っ……は」
不意に、先端を弄る柔らかいものが無くなった。
じくじくと疼く。
まだ、熱は吐き出せてない。
この腕が動かせたら、思う存分触るのに、動かすのに、イキたいのに。
「ユーリ、」
「はっ……はぁっ……」
「これ、なに?」
ふと視界が開けた。
目を開けて、最初に目にしたのはリタ。
リタ。
オレの足の間には、吐き出したい欲で膨れ上がった醜い塊。
リタが手を掲げた。
指先が濡れている。
「これ、なに?あんたのここから出てきたんだけど」
「あ……っゃ……」
「精液、って白いのよね?じゃあこれはなに?」
再び先端を弄られると、ビクビクと反応する自身が目に映った。
もう限界が近い。
「ねぇってば」
リタが手を止めまた聞いてきた。
「はぁっ……っ」
「身体的快感と性感が高まると性器が勃起して、男は射精するんじゃないの?ユーリ、気持ち良くないの?」
「……き、もち……い……」
もう限界だった。
「ぁっから……うで、はずし、て……、さわっ、さわらっ、せて……くれ……っ」
イキたい。出したい。吐き出したい。
リタが拘束した腕を解放してくれと恥を忍んで頼んだ。
早く、イキたい。
帰ってきたのは無情だった。
「駄目」
「は……っ」
限界だった。
「ぃ……き、いっ……き、たい、……イキ、たいっ、イキたい、イキたいっ、イカせて、イキたい出したいっ」
身体を出きる限り捩り、暴れても、腕の拘束は緩まず、縛られたままの腕はバランスを崩したオレの下敷きになった。
不自由な身体を動かせば、擦れる布が僅かな快感をもたらしたが足りない。
「ぁっいっイキ……たっ」
「……気持ち、良かったの?ユーリ、あたしに触られて気持ち良かった?ここ、気持ち良かった?」
「ふぁああっ!」
根本から撫でられ、思わず仰向けになっているにも関わらず身体が仰け反り、頭をベッドに押し付けた。
「きもちっ、きもちいっきもちいっからぁ!」
「ほんと?じゃあ精液出るの?」
「でるぅっ!でちゃぅうっ!もっイクぅぅうううっ!」
訪れた解放感は酷くヨく、ただそれに酔った。
「あぁ……」
出ていく液体は濃いのか、幹を伝っているようで指とは違う感覚がまとわりついた。
「しろい」
幼い声がした。
「これがユーリの精液?」
「あっ」
「ホントに白い。それに、すごくぬるぬるしてる」
「あっ、あっ!」
「ユーリの匂い、こんなのなんだ……」
足を閉じようとしても、リタが間にいるせいで閉じれない。
腰が知れずと逃げるよう動くがそれがまた新たな快感を引き起こし、逆にそれを追うはめになった。
「でも、まだ立ってるわよ?なんで?まだ出るの?」
「ああっ、あっ、ぁああっ!」
粘着質な音を立てながら未だ立ち上がり続けている雄を上下に扱かれ再び吐精感が高まる。
「どれくらい出るの?量は?味は?」
「あひっ、ひんっ!やぁっ!」
「どんな味がするの?ユーリは普段甘い匂いがするから、甘いの?それともこの匂いみたいに変な味がするの?」
「ふひぃいいっ!」
ふぅっと吹き掛けられた息に仰け反る間もなく、吸われた。
たったの一瞬、強く先端を吸われ、リップ音を立てながら離れたその瞬間、二度目の射精を果たした。
「ゎ……っ」
脱力し、重くなった身体から放たれたそれは先よりも勢いよく飛び出していた。
「ユーリの、だ」
リタの顔が白濁で汚れた。
「……おいしい」
口許を赤い小さな舌で舐めとるとうっとりと言った。
「精液、今、飛んだけど、どれくらい飛ぶの?さっきはなんで飛ばなかったの?まだ出るの?どうして苦いのにおいしいの?」
「ひっ……ひっぃっ!はひぃいっ!」
「どうされるのが気持ちい?射精するときってどんな感じ?ユーリは自分の精液飲んだことある?ユーリのあたしが初めて?」
休む暇無く、敏感なソレに与え続けられる快感にひたすら声を上げて身をビクビクと震わせる。
「い……っは!はぁひんんっ!」
「もっと見せて、誰も見たこと無いユーリ、あたしに全部」
込み上げてくる波に抗うことなんて出来ない。
「ぁふっ!あはぅぅううっ!」
「もっと聞かせて、ユーリ、もっと、あたしに教えて」
「んあぁあああっ!」
弾けた精は今度は腹を汚した。
息がうまく出来ない。
「あっ、はっ!ひっふぅううっぁあああ!」
頭の中が真っ白になった。
「ユーリ、またお願いね。まだ調べ足りないわ」
「…………ぁ゛……?」
気が付けば、汚れていた筈の腹も性器も何事も無かったかのように綺麗に白濁が拭われていた。
しかし、リタには直せなかったのか、ただ合わせただけの前と、身体を苛む酷い倦怠感、それから噎せそうな程に籠る青臭い独特の臭いが記憶にある行為が夢じゃないと訴える。
「男の人には前立腺っていう凄くきもちいところがあるって知ってる?性器よりも、気持ち良くなれるらしいわよ。今度、ユーリの前立腺がどこにあるのか調べさせて」
見覚えの無いメジャーや細い管などよくわからないものが傍に散らばっていたが、リタが拾い集めて袋に入れていく。
「でも薬飲んでない状態でもいろいろ実験して調べたいわね……。ああー、調べたらない……」
量の少ない液体の入った小瓶を最後に袋にしまった。
「また今度、いろんなユーリ教えてね」
リタは、久しぶりになにか満足げな、晴れた顔をしている。
「さてとっ。結果、まとめなきゃ」
ほんとうに楽しそうに言うリタをぼんやりと見ている間にいつの間にかまた意識を失っていた。
「……リタ」
あれから数日経った。
たったの数日。
「この間……、なに、やったんだ?」
オレは毎日知らない筈の快感を求めて熱を溜めていた。
身体がもっとと強請るのに、いくら一人でやっても満たされないそれ。
気づけば先端ばかりを弄るのに、届くはずのないもっと奥の方が疼いてもどかしく、苦しく、切なく感じる。
リタは何をしたのか、リタはどうしていたのかとそればかり考え、ついに耐えきれなくなった。
「教えて、くれないか?」
なんでもするからという言葉はプライドにかけて呑み込んだが、
「じゃあ、……また、あたしの頼み、聞いてくれる?」
その言葉を承諾したのだから、意味は無い。
「教えて」
二人の声が重なった気がした。