帝光 キセキのミーティング(笑)2
これ から続いてのミーティング第二回目(笑)










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 デジャヴ。
 黄瀬はそれに対して不安を感じていた。
 それとは一通のメール。
 久しぶりのまっさらな休日に来た、われらが帝光中バスケ部キャプテンからの呼び出し。
 内容は「正午。部室に来い」。
 以前、初めてこのテのメールを貰ったときは何がなんだかわからないうちに話は終わっていた。
 今このメールを開くまで、そのわけのわからない話のことなんてすっかり忘れていた。

(無視……は、死亡フラグっスよね)

 しかし端々覚えているわけのわからなかった内容は今現在、この時になって理解できるものになっていた。
 理解なんてできないものだと思っていたのに、できてしまっている自分が怖い。

(そういえば、オレ、なんかルール違反してたっけ?)

 正直言われたルールをちゃんと覚えてはいない。
 今の今まで忘れていたくらいだ。
 知らぬ間に破っている可能性が非常に高い。
 
(マジ、黒子っち、恐ろしい……)

 はあ〜〜っ。
 黄瀬は深く深くため息を吐いた。



「遅い」

 部室に入って開口一番そう言われた。

「スンマセンっ」
「じゃあ、全員揃ったところで始めようか」

 部室を見渡せば既に赤司を始め、青峰、緑間、紫原の帝光中バスケ部レギュラーであるキセキの世代が揃っていた。

「議題は……」

 オレのことじゃないっスよね。
 ドキドキと鳴る心臓。
 黄瀬は赤司の口から出る言葉を待った。

「なあ、」
「ひゃひい!」
「……キモい」

 ふと青峰が溢した言葉に過剰に反応した黄瀬は放っておき、青峰は赤司に非常にめんどくさそうに言った。

「議題って、さつきのことか?」
「ああ、その通り」

 よかった。オレのことじゃなかった。
 黄瀬が一人安堵している間にもミーティング(仮)は進んでいく。

「ついに……黒子への気持ちを桃井が自覚してしまったようだ」
「まずいのだよ。桃井はオレたちの誰よりも卑怯な手が使える」
「黒ちん、女の子にやさしーもんね」
「それひでぇよな。オレが抱きついても叩くくせにさつきには手ぇださねぇんだぜ」
「オレもー。頭撫でると叩かれちゃうから、何にもされない桃ちんに嫉妬しちゃうな」
「一緒にシュート練していても、桃井が来ると送ると言って先に帰ってしまうのだよ」
「え、みんないつの間にそんなことしてるんスか?」

 いろいろルール作ってるからかなりの牽制があったりするのかと思っていた黄瀬は酷く意外そうに声を上げた。

「「「「お前に言われたか無いっ」」」」

 がしかし、途端にギロリとした視線が一斉に黄瀬を貫いた。

「新参者の癖になんなのだお前は、犬かっ!」
「ちょーしに乗んないでよね、犬」
「あからさまに媚売ってんじゃねーよ犬がっ!」
「ギリギリ規約以内だから見逃してやっているだけだ、この駄犬が」
「す、スンマッセン!!!!」

 全力で謝る黄瀬。
 そんなことよりもと赤司が本題に戻る。

「今のところ、黒子は桃井に恋愛感情は抱いていない。それが救いだ」

 それもコレも、きっと普段からこのメンツで黒子に対して好きだのなんだの言い放ち、黒子の中で「好き」の言葉を純粋な友愛的なものだと認識させてしまっているからだ。
 いくら桃井が「テツ君好き好き大好きっ!」と言っても「ありがとうございます」で終わる。
 単に黒子が鈍いだけかもしれないが。

「でも、ほんと心配。黒ちん、女の子にはやさしーからなぁ……」
「そうっスね。この間なんかオレが振った女の子のことなんか心配してたっス」
「黄瀬死ね」
「ヒドイっ!」
「なんにせよ、彼女には早々に諦めてもらいたいのだよ」
「で、どうすんの」

 非常にやる気なさげな青峰が赤司に振ると、皆が赤司に注目した。
 なんだかんだ、彼が中心であり、これからの方針を決められるただ一人だ。

「……一つ、考えた」
「さすが赤ちん」

 すかさず詳細も聞いていないのに赤司信者が褒め称えるがいつものこと。

「桃井をこちら側に引き込もう」
「えっ!」

 驚きの声を上げたのは黄瀬だ。

「なんだ黄瀬」
「え、え、だって、え?あっ!あのさ、そういえば思ったんだけど、コレって結局なんの集まりなんスか?」

 黒子に対してそれぞれがそれぞれ、恋慕にも似た執着心を持っているというのは黄瀬でもわかる。
 というか、黄瀬自身できれば黒子とどんな者よりも仲良くなりたいと思っているし。
 緑間はツンデレの癖に黒子を認めているとそこだけは胸を張って言い回っているし。
 青峰はテツはオレのと公言しているし。
 紫原はちょくちょく黒子にだけは要らぬちょっかいを掛けているし。
 赤司は黒子の本質を一番わかっているのはオレだと事ある度に主張しているし。
 その皆でルールを作ったり、新たなライバルに対して緊急会議を開いたりと中々アクティブだけれど、目的が全く分からない。

「確か、告白とか、そういうのはいいんスよね?」

 それなら、桃井だって同じことをしている。
 なぜわざわざこの変な会合に呼ばなければいけないのか。
 いったい何の違いがあるのか、違いなんてないんじゃないか。
 今更ながらそう疑問を浮かべた。

「これだからバカは困るのだよ」

 フンッ。
 思いっきり鼻で笑われた黄瀬が緑間に噛み付く前に、紫原がのんびりと言う。

「言うのはいいんだよ〜。けど、付き合うのはだめ」
「えっ、駄目なんスか?」
「今更なに言ってんだよ」

 呆れたように青峰が言う。

「抜け駆け禁止。間接キス以外のキス禁止。性的接触禁止。言っただろう」
「そんなこと言われても、一発じゃ覚えらんないっスよ」
「なら馬鹿な黄瀬でもわかるように簡潔に言ってやろう」

 一々言い方が癪に障るが逆らいはせず、黄瀬は先を促した。

「ずばり、この会は……」
「この会は……?」



「黒子の純潔を守る会だ」



「は?」

 じゅんけつ?
 ポカンとした黄瀬の何が悪いと言うのだろう。

「このままでは桃井の毒牙に掛かってしまうかもしれない」

 ヤツは女子だからなと憎々しげに赤司が言う。
 いや毒牙ってなんスかという黄瀬の言葉は勿論聞こえていない。

「だが恐らくヤツも話せばわかる人種だ」
「はあ……」
「その態度はなんだ。黄瀬は黒子と桃井が付き合っても良いのか」

 言われてちょっとだけ想像してみる。

「うー……まぁ、……あんまいい気はしないっスね」

 最近黒子にウザがられることの多くなってきた黄瀬が想像し過ぎたのか眉間に皺を寄せた。

「だろう」

 満足そうに赤司が頷くのを見て、青峰がはぁと息を吐いた。

「さつきとテツが付き合うとかねーよ」
「そういえば青峰、随分と余裕だな。相手は女子だぞ。非常に悔しいが今月の正座占い、桃井は恋愛面でトップなのだよ」

 非常に悔しいとか緑間っち言うんだなんてことを黄瀬は密かに思いつつ確かにと頷く。

「いつも黒子っちはオレのーって言ってるのに、確かに変スね」
「まさか、ヌケガケなんかしてないよね、峰ちん」
「返答によっては殺す」
「はあ?勘違いすんなよ」

 不機嫌極まりない表情で青峰は皆を睨む。

「お前らとテツがくっ付くのはすげぇ嫌だけど、さつきとテツならどうでもいいだけだ」

 ピシリ。
 場が一瞬固まった気がしたのは気のせいでは無いだろう。
 この場の誰もがこの問題発言に目を丸くして耳を疑った。

「…………そ、の…、割には、二人の邪魔してないスか?」

 逸早く復活したのは黄瀬だ。
 緑間がそれに続く。

「……そ、そうなのだよ。桃井と黒子が二人で話してれば必ず割り込んでいるのだよ」
「タオルとかドリンクとか悉く奪ってるよね、桃ちんが用意した黒ちんの。あと黒ちんが桃っちにあげようとしたものとか」
「黒子が桃井の話題を振ると必ず悪態吐いて話題を変えているよな」

 復活した順に青峰の嫉妬が伺える行動をそれぞれが挙げていく。

「……そーだっけか?」

 きょとんと呆ける青峰に皆が頷いた。

「アララー、無自覚だったの?」

 バカにしたように紫原が言う。

「仕方ない、馬鹿なのだから」

 緑間はあからさまにバカにしつつため息を吐く。

「青峰っち……」

 哀れむ黄瀬。

「よし、桃井を呼ぼうか」

 早くも携帯を取り出しメールを打ち込む赤司。
 青峰にムカつくと言いながら殴られた黄瀬は一人泣いた。






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高校ではきっと火神が知らぬ間に巻き込まれてる