現パラ
携帯電話の話
これの続きっぽいからツー←
**あなたなら、どうする?2
ロイドは大変悩んでいた。
目の前には赤い携帯電話。
ゼロスの物だ。
ゼロス曰く、これは『ロイド専用携帯電話』らしい。
もう一台ゼロスは黒い携帯電話を持っているが、それは『女の子専用』だと言う。
普通、男同士という高いハードルにも関わらず、仮にも世間一般でいう『お付き合い』をしている身としては『女の子専用』の方を気に掛けるものだとは思うが、ロイドはといえばそっちの方はまるで気にしていなかった。
元々ゼロスが女好きだから放っておいているというのもあるが、それ以上にロイド自身が『女性と付き合うゼロス』に対して全くと言っていいほど興味を持っていなかったからだ。
そりゃあ勿論ほんのちょっぴり気にならないことも無いけれども、自分も女の子と遊ぶときはあるし、女の子にときめくこともあるのだから同罪だ。
ロイドはそう割りきっていた。
で、だ。
この赤い携帯。
初めて見せて貰ったときにも不思議に思ったのだが、ロックが掛かっている。
ちなみに、黒い方には掛かってない。
――なにかある。
確信に近いものがあった。
メールのやり取りなんて些細な話題しかしてないから他人に見られて困るようなものなんて無い。
そもそもゼロスは人目を憚らずスキンシップを取るような男の上、公衆の面前で愛を語り始める奴だ。
ロイドが何度やめろと言っても止めないその行動から見て、ささやかな愛を綴ったやり取りを今更他人に見られたって屁とも思わないだろう。
そこから考えるに、これは、自分に見られたくないものがあるんじゃないか?
ロイドはそう思い立った。
隠れてコソコソ見るだなんて事はしたくなかったから、直接尋ねてみたのがさっきだ。「これ、中見たいんだけどいいか?」
「え!?っーと、……じゃあ、中見てもいいけど、条件がある」酷く驚いた顔を見せたと思ったら、今度はにんまりと笑うゼロスが提示した条件は二つ。
一、ロックは自力で解除すること。
一、見たものは勝手に削除しないこと。
そして話は冒頭の珍しく頭を捻り悩み考えるロイドに戻る。「どーよ、わかった?」
にまにまと笑うゼロスが両手にマグカップを持って台所から帰ってきた。
「わっかんねー」
「わかんないのー?」ほいと手渡されたカップにはココアがなみなみと入っている。
「オレ様泣いちゃうわよ〜?」
「勝手に泣いてろよ」
「ひどっ!!」泣き真似をしながら頭を擦り付けてくるゼロスを無視してロイドは考える。
思い付く限りはやった。
例えば誕生日。もちろん二人分と真ん中。月同士を並べたり日付を並べたりもした。
ゼロスが思いついた、名前を数字に当てはめるってのもやった。
0から1までゾロ目や並びもやったがうんともすんともエラー音さえ鳴らない(エラー音は当たり前か)。「あーもーわっかんねー」
「あっ、ちょっとロイド君っ!!」携帯をゴトンと机に放り投げられゼロスが声を上げた。
「考えるのに飽きたからって八つ当たりに人のもん使うなって」
「あー……ごめん」自分の携帯でやっているいつもの癖で、適当に扱い投げた赤い携帯をゼロスが手に取りポケットに押し込んだ。
「で、正解は?」
「おいおいおい。これで正解教えちゃったらつまんないでしょーよ」だからまた今度ね、と言ってゼロスはロイドの額に触れるだけのキスを落とした。
そうされたらもうロイドは黙るしかなくて、なんだかそわそわとする気を紛らすために甘いココア一口飲んだ。