デューク
?ユーリ
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 死ネタ  混じり
 悲恋  だと思う
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** 別れの時



 ――止まった。
 揺らいでいた天秤は傾き、片方に沈んだ。
 もう、決めてしまったのだ。

「――デューク」

 空を見上げながらぼんやりと佇んでいた奴に呼び掛けると、ぱちりと長い睫毛が一度瞬いてから、綺麗な顔がこっちに向いた。

「……なんだ?」

 気付いているのだろうか、デュークは。

「いや、なんか珍しくぼーっとしてたし…………なんか、遠くに行っちまった気がして、さ」

 ――違う。
 行ったのは、オレだ。
 フレンもラピードもみんな、デュークをも置いて、別の道を歩いてる。

「フ……っ」

 ふと笑い出したデュークに、嫌な考えから抜け出した。
 まだ、そんなこと考えたくない。

「……んだよ。笑うこたねぇだろ」
「すまない」

 真面目に謝ってるくせに、仄かに笑みを含んだ口許に合わせて笑顔を作る。

「やな顔。にやついてるぜ」
「お前が可笑しなことを言うからだ」

 痛んだ胸は、捩じ伏せた。
 やはり、デュークは気付いていなかった。知らなかった。

「人のせいにするつもりか」

 笑う。嗤う。
 人なんて、ここには一人しかいないのに。
 わらって、つんと目の奥が熱くなった。
 覆おうとして少し持ち上げた腕が、ぐいと引かれ、驚く間もなくデュークの胸の中にいた。

「私がお前の傍から離れるなどと、世迷い言を溢すからだ」

 緩く巻かれた腕が胴を締めた。

「私は、ここにいる」

 確かに感じた幸福は、泡になって消える。
 けれど、今感じる温もりだけはと、歪んだ顔を隠した。





 人を選んだデューク。
 力を選んだオレ。
 気付かれる前に、傷が浅いであろう今の内に――





 忘れてくれ。










































 世界を愛し、世界の為にと動いたデューク。
 人とは離縁したと口に出して言っていたくせに、それでも人であることを捨てられなかったデューク。
 笑うことを忘れたデュークは再び人と交わり、再び笑うようになった。
 でも、もうすぐいなくなる。
 ――オレなんか探してなけりゃ、もっと、ましな人生になったろうに……今、デュークは独りだ。
 こんなことになるなら、別れの言葉の一言でも伝えておけばよかった。
 後悔しても遅い。
 会うつもりはもう無かったのに、最期だからと言い訳して、言うつもりの無かった言葉まで発していた。

「ごめんな」

 薄く開いた白い瞼から、赤い目がちらりと覗く。
 膝を付いて、横たわるデュークの頬を撫でると緩やかに笑みを浮かべた。
 ――名を、呼ばれた気がした。
 そっとデュークに被さるよう力無く投げ出された腕の中へと身を寄せる。
 もう、動かないだろうと思っていた腕が、ゆっくりと身体に巻き付いた。
 そして、程無くして滑り落ちた。
 それでもデュークに擦りよって肌を寄せた。
 ゆっくりと冷えていく身体に、細やかな温もりを求めて、渡して――






 冷えきった身体は、海の見えるあの丘へと。