やめた日

 

 足を開くのは金になるから。
 どうでもいいような声を上げるのは金になるから。


 我ながらありきたりな理由だと思う。
 女を相手にすると逆に金を持っていかれるから男を相手にする。
 そんな生活を始めたのは何時だったかな。
 その日の男が色を着けてくれた金を弄りながらぼんやり考える毎日。
 毎日毎日。
 毎日毎日毎日毎日毎日。
 男に足を開いて男に突っ込まれて男に金を貰って、一日でその金を使い果たす。
 もう止めようかななんて思っても、結局誰かを引っ掛ける。
 容姿が良くてラッキーだったなとこの時ばかりは思う。

「なぁ、アンタ、買わない?」

 安くしとくぜ。
 言うと、大抵の男はまず顔を見て、上から下まで舐めるように気持ち悪いくらいこっちを見る。
 その後大抵、男かどうかの確認を無意味に聞かれる。
 見りゃわかんだろと、逆ギレするほどの事じゃないとは最近思うけれど、やっぱりムカつく。
 そんな時は腹いせも兼ねて思いっきり食いついてやるのだが…………今日は色々違った。
 話し掛けた相手は中々見たことの無いタイプの男だ。
 この辺じゃ異質と言ってもいいような格好。
 声を掛けたのは気紛れに近かった。
 どうみてもお綺麗な外見から下の方の世話は間に合っているだろうし、興味もなにもなさそうな奴だったから、どうせよくもわからず断られるだろうと踏んでいた。
 それでもいい。
 時間はまだあるし、声を掛ければ釣れる常連もまだこの時間ならいる。

「いいだろう」
「え」

 しかし、予想外にも即答。しかも即答で買うことを宣言した輩は今まで見たことがない。
 男が趣味の変態でも上か下か、もしくは趣向を聞いてくるし、まず渋るのが普通だ。
 ビョーキだとかなんだとか含め。

「来い」
「え、あ、」

 前を歩いて行く男に付いていく。
 今までにない展開に頭が付いていけない。
 ふと我に帰れば見知らぬベッドの上に居た。
 隣には、さっきの男。
 でも服は着たまま。
 おかしいなと思いながらも、ベッドで身を包むように抱かれてたら、――いつの間にか朝になっていた。


 帰るときになって渡された金は未だ残っている上、それからも何故か付き合いは続いている。