天使化ロイド話
「そして、」
「けれど、」
の始まり的なの
ちょい くらめ
オケ?
**これから、
最初の違和感は、頭に響く大きな音。
けれどもそれは直ぐに治った。
次に変だなと思ったのは、ぽっかりと身体に、腹に穴が空いたような不思議な感覚。
それらに気付いたのは全てが終わった後、ほっと息を吐いた時だった。
隣には、コレットがいた。
たぶん、変な顔をしていたんだろう。
オレに「だいじょぶ?」と声をかけてきた。
咄嗟に大丈夫だと返したオレは、唐突に理解した。
これは、天使化だ、って。
不思議なことに、オレの天使化の進み方はコレットとは全然違った。
いきなり耳が良くなったり、目が良くなったり、かと思えば悪くなったり。
腹が減ったり、急に何も食べたくなくなったり。
今立ってるのか座ってるのか、そんなことさえわからなくなったり。
チカチカと頭と目が回る気持ち悪さもあった。
たったの一日で、なにが普通で、なにが違うのかわからなくなって、なんとなくわかった。
たぶん、オレが知らない間にオレは「天使」になってるんだろう。
今はごちゃごちゃしているものが、いつの間にか気づかない間にだんだん減っていって、最後に全部消えるんだ。
一つずつ、全てを失ったコレットとは違うんだろう。
わかったとたんに、怖くなった。
同時に、コレットはほんとうにすごいなと思った。
オレは最後にどうなるか知ってるけど、アイツは知らなかった。
それなのに笑ってた。
一つ一つ失って、全く違う世界が見えるようになる。
これからどうなってしまうのか、酷く不安になるのに、怖いのに、アイツは笑ってた。
心の中では泣いていたけど、笑ってた。
オレは笑えるのかな?
――笑わないといけない。
そうは思っていても、オレはコレット程強くなかった。
いっそのこと、言った方がいいのかもしれない。
いや、言った方が、絶対にいいに決まってる。
天使化が始まったと、伝えた方がいいんだろう。
でも、それを言ったら、アイツはどう思うんだろう。
悲しむと思う。
心配されると思う。
もしかしたらそれ以前に、嫌われてしまうかもしれない。
アイツに深い傷を付けたモノになるのだから、オレを見てもらえないかもしれない。
オレは、消えてしまうのだから。
――怖く、なった。
言った方が、楽にはなれると思う。
元々隠し事は苦手だし、嫌いだ。
それでも、怖かった。
一緒に旅をするのなら、いつかはバレると思うし、その前に自分から言わなければと思った。
思ったのに、その前にオレは逃げようとした。
「なぁ、ゼロス……ほんとに、一緒に行くのか?」
「なに今更言ってんだよ。ったりまえでしょーが」
「無理とか、なんかいろいろしなくていいんだぞ?」
「オレはロイド君と一緒にいたいの。これで満足?」
笑うゼロスに笑顔返せたかどうか、オレは覚えてない。
それから、何度か独りで旅に出ることを仄めかしたけれど、約束通り、二人で一緒に村を出た。