ここは、どこだろう。
 頭が酷く重い。
 顔がパキパキする。
 喉がカラカラする。
 ――デジャヴ?

「……ぁっ、ユーリ!」
「……、カロル?」

 なんだか既視感を感じる。

「ここ……」

 どこだと聞く前に自分で思い出した。
 この家具の配置はダングレストの宿屋だ。
 けれど、いつ来たんだろうか。
 たしかオレは――、ああ、いや、そうだ。思い出した。
 仕事しに来たんだ。
 よいせと起こした身体が重い。
 でも、動かないと――。することがなくなってしまう

「どっか痛いとことか、ない?」
「無い無い。なに心配してんだよ」

 ああ、でも、前よりは楽だな。
 前?
 いや、ただのデジャヴだ。
 だって、今日は立ち上がる気も起きない。動かないといけないのに。

「カロル、ユーリは……、」

 がちゃりと扉が開きジュディが入ってきた。
 挨拶がてらに手を軽く振るとジュディはほっと息を吐いた。
 寝る前に、心配されるようなことなんかしたか?駄目だ。
 寝る前、は、たしか、なにか――、忘れよう。知ってちゃいけない。

「……ご飯、食べる?」
「……ぁ、ああ、なんだ。そんな時間か」
「お腹空いてるでしょ」

 言われてみれば空腹感を感じる。

「ジュディが、作るのか?」
「まさか。ここの厨房を借りるわけにはいかないわ」
「そりゃそうだ」
「持ってくるから、待ってて」
「ああ、頼む」

 だんだんと口を動かすのでさえ酷く億劫に感じ、考えるのも頭が重く面倒になってきた。ごめん。
 このまま起きているつもりだったが、身体が限界を訴えた。心配掛けてごめん。

「……ジュディ来たら声掛けてくれ」
「へ、ユーリ?」

 身体を動かしたいと思っていても、身体が言うことを聞かず、倒れるように思いきり横になって目を閉じた。目、覚めたら、ちゃんとするから。








 今だけは、許してくれ。








 目を閉じて、






「」





 夢を見た――気がする。









 忘れるから。









 きっと、気のせい。









 ちゃんと、綺麗に。









 でないにしろ、覚えてない。









 だから、









 どうせ、夢なんて、大したことない。









 夢だけ、ほんの少しだけ、









 ただの夢だ。









 思い出に浸らせて。









 ただの、夢。









 目覚めたら、ちゃんと忘れるから。






















「ユーリは?」

「食べたら直ぐ寝ちゃった」

「……いい、ことなのかしら……?」

「わからないけど、起こすのも悪いよ」

「そうね」

「ねぇ、そういえばさ、……何してたのかな?」

「え?」

「あの人、こんなところで何してたんだろう……」

「……気を付けましょう」

「……」

「また、万が一会って、丸一日も意識不明なんて……いくらユーリでも、身体が持たないわ」

「うん……そうだね.」




































「ねぇ、」



「ねぇってば」



「……ユーリなら、ここにはいないよ?」



「ねぇ、」



「忘れたなんて、ほんとは嘘なんでしょ?」



「早く謝った方がいいよ。きっと、許してくれるよ」



「あっ、ちょっと……っ待ってよ!どこ行くの?ねぇ――っ!」















「――忘れられない……」